Midjourney、本当にすごいですよね。頭の中のイメージが、まるで魔法のように美しいビジュアルになって現れる。クライアントワークの提案から、個人の創作活動まで、その可能性は無限大に感じられます。私自身、デザイナーとしてこの新しいツールに大きな魅力を感じています。
でも、その手軽さの裏側で、こんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
「Midjourneyで作った画像って、本当に商用利用していいの?」
「『あなたが作った画像はあなたのもの』って規約にあるけど、それって著作権も含まれるの?」
「有名なキャラクターに似た画像が出てきちゃったけど、これって大丈夫?」
AIという新しい技術だからこそ、法律やルールがまだ追いついていない部分がたくさんあります。特に私たちクリエイターにとって、権利の問題は活動の根幹に関わる、とてもデリケートで重要なテーマです。
このブログのコンセプトは、「AIを活用してクリエイティブな時間を確保すること」。そのためには、AIツールを安心して使うための知識が欠かせません。今回は、Midjourneyの利用規約の深層から、著作権の現実、そして私たちが賢くこのツールと付き合っていくための具体的な方法まで、デザイナーの視点で徹底的に掘り下げていきます。少し長くなりますが、あなたの創作活動を守るために、とても大切な内容です。
この記事で分かること📖
📜 規約の本当の意味:「あなたの作品はあなたのもの」という言葉の裏に隠された、Midjourneyへの広範なライセンス提供の真実
⚖️ プラン別の権利の違い:無料プランと有料プランで商用利用のルールがどう根本的に違うのか、そしてなぜProプランが事実上の必須条件なのか
🤔 著作権の厳しい現実:AI生成アートがなぜ著作権で保護されにくいのか、そしてあなたの作品が競合に模倣されるリスク
🛡️ Midjourneyは守ってくれない:進行中の訴訟の深層と、なぜトラブルの責任がユーザーに及ぶのか
✍️ 今日からできる自衛策:リスクを理解した上で、私たちがMidjourneyを安全に活用するための5つの具体的なアクションプラン
Midjourneyの「利用規約」、その本当の意味とは?

まず、基本となるMidjourneyの利用規約(Terms of Service)から見ていきましょう。法律の文章は難解に感じられますが、私たちの権利と義務が書かれた、いわば活動のルールブックです。ポイントを絞って、分かりやすく解説します。
「あなたの作品はあなたのもの」という言葉の裏側
Midjourneyの利用規約には、「お客様は本サービスで作成したすべてのアセット(生成した画像や作品)を所有します」と書かれています。これだけ読むと、「やった!自分で作ったものは全部自分のものなんだ」と安心しますよね。
しかし、ここには「適用法の下で可能な最大限の範囲で」という、とても重要な一文が添えられています。これは、「法律が認めてくれる範囲で、あなたの所有権を認めますよ」という意味です。つまり、Midjourneyが所有権を保証してくれるわけではなく、最終的な判断は外部の法律(この場合は主に著作権法)に委ねられています。これは所有権の絶対的な保証ではなく、条件付きの権利譲渡と考えるのが適切です。
さらに、規約では他のユーザーが作成した画像をアップスケールしても所有権は得られず、元の作成者が権利を保持することも定められています。
気づかぬうちに許諾している「広範なライセンス」
さらに、私たちがMidjourneyを使うことで、実はMidjourney側にも大きな権利を与えていることをご存知でしょうか。利用規約には、私たちが作った画像に対して、以下のライセンスをMidjourneyに与えることが明記されています。
- 永続的で、世界的で、非独占的
- サブライセンス可能(第三者に再許諾できる)
- 無償、ロイヤリティフリー
- 取り消し不可能
そして、その内容は「複製、派生物の作成、公に表示、公に上演、配布」など、ほぼ全ての権利を含んでいます。
簡単に言うと、「あなたが作った画像の所有権はあなたにあるけれど、私たち(Midjourney)も、その画像を自由に、永久に、世界中で、無料で使ったり、改変したり、他の人にも使わせたりできますよ」ということです。アカウントを解約した後でさえ、このライセンスは有効であり続けます。
私たちが「所有」している一方で、Midjourneyも所有者とほぼ同じ権利を持っている。この事実には少し驚きますよね。これは、Midjourneyがユーザーの作品を公開ギャラリーで表示したり、サービスの宣伝に使ったり、将来のAIモデルの学習データとして利用したりするための法的な根拠となっています。
デフォルトで「公開」されるリスクと「ステルスモード」
Midjourneyは「オープンなコミュニティ」であると規約でうたっており、私たちが生成した画像は、何もしなければデフォルトで全世界に公開され、他のユーザーが閲覧したり、リミックス(参考にしたり、模倣したり)できる状態になります。
個人の趣味の範囲なら問題ないかもしれませんが、これが商業プロジェクトだったらどうでしょう?
- クライアントから依頼された未公開の製品デザイン
- 企業の次期キャンペーンに関するビジュアル
- 自社の新しいロゴデザインのアイデア
これらが全世界に公開されてしまうのは、致命的な情報漏洩につながる可能性があります。このリスクを回避するための機能が「ステルスモード」です。このモードを使うと、生成した画像が公開ギャラリーに表示されなくなります。
しかし、このステルスモードは月額60ドルからのProプラン(またはMegaプラン)でしか利用できません。つまり、機密性を要する商業プロジェクトでMidjourneyを使いたいのであれば、Proプランへの加入が「事実上の必須条件」となります。Midjourneyは、規約の構造自体で「公開される」という問題を作り出し、その解決策を有料プランの目玉機能として提供している、と見ることもできます。
守るべきコミュニティガイドライン
Midjourneyの利用は、厳格なコミュニティガイドラインを守ることが大前提です。禁止されているコンテンツには、アダルトコンテンツ、過度に暴力的な表現、ヘイトスピーチ、ハラスメントなどが含まれます。また、他者の知的財産権を侵害するような活動も固く禁じられています。
これらのルールに違反すると、警告なしに即時利用停止、あるいは永久追放という厳しい措置が取られることがあります。Midjourneyは規約の中で「我々は民主主義ではない」と明確に述べており、これはユーザーの権利が、Midjourneyの裁量による規則の執行に完全に依存していることを示しています。アカウントを追放されることは、通称「Banhammer(追放のハンマー)」とも呼ばれ、サービスへのアクセスを失い、商業的なワークフローが完全に止まってしまうことを意味します。
注目ポイント📌
📜 所有権は条件付き:「あなたのもの」という言葉は、あくまで「法律が許す範囲で」という限定的な保証です。
🤝 Midjourneyへのライセンス提供:サービスを利用することで、私たちは自分の作品をMidjourneyが自由(かつ永久)に使える権利を与えています。
🔐 公開が基本設定:機密情報を扱うなら、Proプラン以上の「ステルスモード」は選択肢ではなく、必須の防御策です。
⚖️ ルールは絶対:コミュニティガイドラインに違反すると、ある日突然アカウントを失うリスクがあります。
プランで変わる商用利用のルール:あなたは大丈夫?

次に、商用利用の権利について、プランごとの違いを具体的に見ていきましょう。ここを間違えると、ライセンス違反になってしまう可能性があるので、しっかり確認してください。
無料プランと有料プランの決定的な違い
Midjourneyにおける商用利用の権利は、無料プランか有料プランかによって、天と地ほどの差があります。
- 無料トライアルユーザー
かつて提供されていた無料トライアルでは、生成された画像は「クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 4.0 国際 (CC BY-NC 4.0)」というライセンスの下で扱われました。名前の通り、商用利用は一切禁止されており、もし利用するならMidjourneyへのクレジット表記が義務付けられています。 - 有料プランユーザー
Basic、Standard、Pro、Megaのいずれかの有料プランに加入すると、Midjourneyの「一般商用条件(General Commercial Terms)」が適用されます。これにより、利用規約を守っている限り、マーケティング、商品化、広告、Webサイトなど、非常に幅広い商用利用が許可されます。
ここで重要なのは、一度有料プランに加入すれば、その後にサブスクリプションを解約したとしても、加入中に作成した画像の商用利用権は維持されるという点です。
年間総収益100万ドルの壁
Midjourneyは、企業の規模によって利用ルールを明確に分けています。利用規約には、次のような規定があります。
「年間総収益が1,000,000米ドルを超える企業の従業員または所有者である場合、画像を商用利用するためにはProプランまたはMegaプランを購入しなければならない」
これは、大規模な法人に対して、ルールを守ることを強く求める要件です。日本円にして約1億5千万円(為替レートによる)を超える収益がある企業は、BasicプランやStandardプランで生成した画像を商用利用することができません。必ず、より高価なProプランかMegaプランを契約する必要があります。
これは、大きな利益を上げている企業には、その規模に見合った貢献を求めるというMidjourneyの収益戦略の一環です。もしあなたの所属する会社がこの条件に該当する場合、必ず社内で確認し、適切なプランを契約するようにしてください。
なぜProプランが「事実上の必須」なのか
下の表は、商用利用という観点で各プランを比較したものです。
項目 | Basicプラン | Standardプラン | Proプラン | Megaプラン |
---|---|---|---|---|
月額料金 | $10 | $30 | $60 | $120 |
商用利用権 | 一般商用条件 | |||
ステルスモード | ❌️利用不可 | ⭕️利用可能 | ||
商用上の意味合い | 機密作業には不向き。公開リスクが高い。 | 機密性の高い商用プロジェクトに必須。 |
この表を見ると、Basicプランでも規約上は商用利用が可能であることが分かります。しかし、前述の通り「ステルスモード」が使えません。
クライアントワークや自社の未公開プロジェクトなど、少しでも機密性が求められる作業を行う場合、生成した画像が全世界に公開されてしまうリスクは到底受け入れられません。そのため、プロのクリエイターや企業がビジネスでMidjourneyを活用するなら、リスク管理の観点からProプラン以上が実質的な最低ラインとなるのです。
注目ポイント📌
💰 有料プランが前提:商用利用を考えるなら、有料プランへの加入は絶対条件です。
🏢 大企業は要注意:年間総収益が100万ドルを超える企業は、ProまたはMegaプランの契約が義務付けられています。
🛡️ リスク管理のコスト:Proプランの高い料金は、単に生成枚数のためだけではありません。あなたのビジネスの機密情報を守るための「保険料」と考えるのが良いでしょう。
著作権の大きな壁:AI生成アートは「誰のもの」にもなれない?

さて、ここからが最も複雑で、しかし最も重要な話です。Midjourneyの規約上は「所有権」が認められていても、法律の世界、特に「著作権」という観点から見ると、その話は全く違ってきます。
米国著作権局の見解:「人間の創作性」がなければダメ
著作権に関する国際的なルールに大きな影響力を持つ、米国著作権局(USCO)は、AI生成コンテンツに対して一貫した立場を示しています。それは、著作権で保護されるためには「人間の創作性(human authorship)」が不可欠であるというものです。
人間が単にプロンプト(指示文)を入力しただけで、AIが自律的に生成した画像は、この「人間の創作性」が欠けていると判断されます。プロンプトはあくまで「アイデア」であり、具体的なピクセルの一つ一つを描き出す「表現」を直接コントロールしているわけではない、というのがUSCOの見解です。
- Midjourneyの規約:「あなたの画像を所有できますよ(法律の範囲で)」
- 米国著作権局(法律):「AIが作っただけの画像に、著作権という権利はそもそも発生しませんよ」
Midjourneyは、自社が持つ権利を私たちユーザーに譲ることはできますが、法律上、そもそも存在しない「著作権」という権利を生み出して与えることはできません。
つまり、現在の法解釈に従うと、私たちがMidjourneyで生成した画像は著作権の保護対象外となる可能性が非常に高いのです。私たちは、著作権登録もできず、誰かが真似しても著作権侵害を主張できない制作物を「所有」しているに過ぎません。
自分の作品がコピーされ放題?著作権なき世界の現実
著作権で保護されないということは、その画像が事実上「パブリックドメイン(公有の財産)」として扱われることを意味します。これは、誰でも、あなたの許可なく、その画像をコピーし、改変し、商用利用できる可能性がある、ということです。
この現実は、ビジネス利用にとって深刻なリスクをもたらします。
例えば、あなたが何時間もプロンプトを練り、やっとの思いで完璧なブランドロゴや、キャンペーンのメインビジュアルをMidjourneyで作り上げたとします。しかし、その画像には著作権がないため、あなたの競合他社がその画像を丸ごとコピーして、自社の広告に使うことが法的に可能になってしまうのです。これは「模倣によるブランド価値の希薄化」という、新たなビジネスリスクを生み出します。
Midjourneyの規約にある「所有権」は、このような行為を防ぐ盾にはなりません。私たちが期待できるのは、毎日生まれる膨大な画像に紛れて、悪意ある誰かに見つからないように願うことだけ、という何とも心もとない状況です。
これは、企業のロゴや製品パッケージのような、独自性と他にはない価値が求められる重要な制作物にMidjourneyを使うことは、非常にリスクが高いことを示唆しています。
唯一の対抗策:「人間の創造的貢献」
では、もう打つ手はないのでしょうか?いいえ、可能性は残されています。USCOのガイダンスは、AI生成物を「素材」として使い、人間がさらに創造的な手を加えた作品については、その「人間が貢献した部分」に著作権が認められる道筋を示しています。
これは、Midjourneyから出力された画像を「完成品」としてではなく、「素材」として捉えるアプローチです。
- Photoshopでの高度なレタッチや色調補正
- 複数のAI生成画像を組み合わせたコラージュ作品の制作
- タイポグラフィやグラフィック要素を加えて、全く新しいデザインに仕上げる
このように、人間による実質的な後処理や編集作業によって、元のAI生成物とは異なる、新しい二次的著作物を生み出すのです。この場合、著作権保護の対象は、あくまで人間が追加した部分に限られます。著作権を申請する際には、AIが生成した部分については権利を放棄する必要があります。
結局のところ、Midjourneyは法的に守られた作品を販売しているのではなく、あくまで画像を「生成するサービス」を提供しているに過ぎません。私たちが月額料金で支払っているのは、法的に守られる知的財産権に対してではなく、画像を商業的に「利用する能力」に対してなのです。
注目ポイント📌
🏛️ 著作権は認められない:現在の法律では、AIが生成しただけの画像に著作権は発生しない、というのが米国著作権局の基本スタンスです。
🌐 コピーされるリスク:あなたの作品が著作権で保護されないため、誰にでも合法的にコピー・利用される可能性があります。
🎨 「ひと手間」があなたを守る:AIの出力を素材として、人間が創造的な編集を加えることで、その追加部分に著作権が認められる可能性があります。
Midjourneyはあなたを守ってくれない:進行中の訴訟とユーザーに転嫁されるリスク

Midjourneyを取り巻く法的な問題は、著作権の話だけではありません。現在、Midjourneyはプラットフォームの根幹を揺るがすかもしれない、複数の重大な訴訟に直面しています。そして、そのリスクの矢印は、最終的に私たちユーザーに向かう可能性があります。
AIの「原罪」:無断で学習されたトレーニングデータ
ディズニー、ワーナー・ブラザース、ユニバーサルといった巨大コンテンツ企業が、Midjourneyを著作権侵害で訴えています。彼らの主張の核心は、MidjourneyのAIモデルが、インターネット上から許可なく収集(スクレイピング)された、何十億もの著作権保護された画像を学習して作られている、というものです。訴訟資料では、創設者のデビッド・ホルツ氏が、チームはトレーニングのために「手に入るものは何でも掴む」と述べたと引用されており、この問題の根深さを示唆しています。
これは、多くの生成AIが抱える根源的な問題で、しばしばAIの「原罪」とも呼ばれます。もし裁判所が、著作権で保護されたデータを無断で学習させることが違法であると判断した場合、Midjourneyのモデル自体の合法性が問われることになります。

有名キャラクターを生成できてしまう問題
訴訟では、トレーニングデータの問題に加えて、Midjourneyがスーパーマンやバットマン、バッグス・バニーといった、誰もが知る著作権キャラクターの画像を非常に忠実に生成できてしまう点も厳しく追及されています。
スタジオ側は、「Midjourneyが侵害ツールを提供し、ユーザーの侵害行為から利益を得ている」と主張しています。そして、侵害された作品1件につき最大15万ドル(現在のレートで約2,300万円以上)という巨額の法定損害賠償を求めており、もしこれが認められれば、Midjourneyにとって壊滅的な打撃となるでしょう。
Midjourneyの言い分と、ユーザーへの責任転嫁
これに対し、Midjourneyは主に二つの反論をしています。
一つは、AIの学習は人間が学ぶのと同じで「変革的」な行為であり、著作権法の例外規定である「フェアユース(公正な利用と認められる範囲での著作物利用)」に当たるという主張です。
そしてもう一つが、私たちユーザーにとって非常に重要な点です。侵害的な画像が生成された場合の責任について、Midjourneyは「知的財産権の侵害を禁じる利用規約に従う責任は顧客(ユーザー)にある」として、責任をユーザー側に転嫁しようとしています。
この戦略は、ユーザーにとって非常に大きなリスクをはらんでいます。なぜなら、スタジオ側は、Midjourneyが不適切なコンテンツをフィルタリングする技術を持っているのに、意図的に著作権キャラクターのフィルタリングを行っていない、と具体的に指摘しているからです。
もし、Midjourneyのフェアユースの主張が退けられた場合、侵害コンテンツを生成したユーザーが直接の侵害者として、そしてMidjourneyは侵害を助長したとして、それぞれ責任を問われる可能性があります。
そして、最悪なことに、Midjourneyの利用規約には、第三者から著作権侵害で訴えられた場合に、Midjourneyがユーザーを守ってくれるという補償条項は一切ありません。サービスは「現状有姿(As-Is)」(=いかなる保証もない、ありのままの状態で提供されるという意味)で提供され、ユーザーは「画像の使用が適切かどうかを判断する単独の責任を負う」と明記されています。
これは、あなたがMidjourneyで生成した画像が、後から誰かの著作権を侵害していると判明した場合、あなたはMidjourneyに助けを求めることができず、たった一人で損害賠償などの責任を負わなければならない、ということを意味します。私たちは、潜在的に違法なツールを使い、保護されない作品を作成し、契約上すべてのリスクを自ら引き受けているという、厳しい現実に直面しているのです。
注目ポイント📌
⚖️ 訴訟の渦中:Midjourneyは、トレーニングデータと生成物の両方で、大手スタジオから著作権侵害で訴えられています。
🙅 責任はユーザーに:Midjourneyは、侵害の責任はユーザーにあるという立場を取っており、規約上ユーザーを保護する義務を負っていません。
🛡️ 補償なしのリスク:もしあなたが生成した画像が原因で法的なトラブルに巻き込まれても、Midjourneyは助けてくれません。すべてのリスクはユーザー自身が負うことになります。
では、私たちはどうすればいい?安全にMidjourneyと付き合うための5つのルール

ここまで、Midjourneyを取り巻く厳しい法的現実について解説してきました。不安に感じた方も多いかもしれません。しかし、リスクを正しく理解することは、AIという強力なツールを恐れて使わなくなるためではなく、賢く安全に使いこなすために欠かせません。
最後に、これまでの分析を踏まえ、私たちがクリエイターとしてMidjourneyと責任を持って付き合っていくための、具体的なアクションプランを提案します。
まずは自分の利用ケースを評価する
すべての利用が同じリスクを持つわけではありません。まずは自分の使い方がどのレベルのリスクに該当するのかを客観的に評価してみましょう。
- 低リスク
社内やチーム内でのブレインストーミング、アイデア出し、ムードボード作成など。一般に公開されず、最終的な成果物としてAI画像をそのまま使わない用途です。 - 中リスク
Webサイトのブログ記事の挿絵、SNS投稿用の画像、一般的なマーケティング資料など。画像の独自性や他にはない価値がそこまで重要ではなく、ブランドの根幹をなすものではない用途です。他者にコピーされる可能性は許容する必要があります。 - 高リスク
企業の主要なロゴデザイン、製品パッケージ、ブランドイメージの核となるデザインなど。独自性が必須で、法的に保護されることが強く求められる用途です。著作権で保護されないリスクや、潜在的な侵害リスクが最も顕在化します。
安全に使うための5つの具体的アクション
1. Proプラン以上を契約し、ステルスモードを使う
ビジネスで利用するなら、これは絶対の基本です。クライアントや自社の機密情報を守るために、生成物を非公開にするステルスモードは必須です。これは技術的な機能であると同時に、プロとしての責任ある姿勢の表れでもあります。
2. 既存の知的財産(IP)を避ける
プロンプトに、特定のアーティスト名、キャラクター名、ブランド名、映画のタイトルなどを入れるのは絶対に避けてください。これが、意図せず著作権を侵害した出力(いわゆる「寄りすぎ」)を生成してしまう最も大きな原因です。オリジナルの言葉で、あなたが作りたいイメージを具体的に描写することに集中しましょう。
3. 制作プロセスをすべて文書化する
どんなプロンプトを使い、どのような試行錯誤を経てその画像に至ったのか、記録を残しておきましょう。万が一、法的な問題に発展した場合に、あなたが特定の何かを模倣しようとしたわけではない、という「意図」を証明する上で、重要な証拠になる可能性があります。
4. 生成された画像を「素材」として捉え、必ず手を加える
前述の通り、AIの出力をそのまま「完成品」として使うのはやめましょう。Photoshopでのレタッチ、Illustratorでのベクター要素の追加、複数の画像の合成など、あなた自身の創造性を明確に加えることで、著作権保護の対象となる可能性を高め、かつオリジナリティを確保することができます。この「ひと手間」が、あなたの作品の価値を高め、法的なリスクを低減させます。
5. 重要なプロジェクトでは法務専門家に相談する
企業のロゴや重要なブランディングなど、リスクの高いプロジェクトでどうしてもAIを活用したい場合は、必ず知的財産の専門家である弁護士に相談してください。利用規約自体もこれを推奨しています。専門家のアドバイスは、不確実な状況を進むための最も信頼できる道しるべとなります。
注目ポイント📌
📊 リスクを自己評価:自分の利用目的が低・中・高のどのリスクレベルにあるかを常に意識しましょう。
🤫 ステルスモードは必須:プロの仕事として使うなら、Proプラン以上への投資は必要経費です。
🚫 有名IPは厳禁:安易に有名な名前を使わず、自分の言葉でプロンプトを組み立てるスキルを磨きましょう。
✍️ 記録はあなたを救う:面倒でも、制作の過程を記録しておく習慣が、将来のあなたを守るかもしれません。
🤝 最後の砦は専門家:迷ったら、ためらわずにプロの法律家に相談することが、最善のリスク管理です。
クリエイターが注視すべき、今後の4つのポイント

Midjourneyを取り巻く状況は、常に変化しています。AIを安全に活用し続けるためには、以下の4つの動向に常にアンテナを張っておくことが重要です。
1. 訴訟の行方
現在進行中のディズニーやユニバーサルなどとの裁判の結果は、生成AI業界全体に大きな影響を与えます。もしMidjourney側が敗訴すれば、サービスのあり方や利用規約が大きく変わる可能性があります。これらの判決は、今後のAIと著作権の関係を占う重要な指標となります。
2. 各国の法整備
米国議会をはじめ、世界中の国や地域で、AIと著作権に関する新しい法律作りが検討されています。クリエイターの権利がどう守られるのか、あるいはAI開発企業の責任範囲がどう定義されるのか、法的な枠組みの変更は私たちの活動に直接影響します。
3. 米国著作権局(USCO)のガイダンス更新
技術の進化に合わせて、USCOはAI生成物に関するガイダンスを継続的に更新しています。今後、どのような条件を満たせば「人間の創作性」が認められるのか、その基準がより具体的になる可能性があります。新しい見解が示されれば、私たちの創作の進め方も変わってくるでしょう。
4. Midjourney自身の変化
法的な圧力や社会からの要請に応える形で、Midjourneyが利用規約を変更したり、特定のキャラクターやアーティストのスタイルを生成しにくくするフィルターを導入したりする可能性は十分に考えられます。プラットフォーム側のアップデート情報には、常に注意を払っておく必要があります。
注目ポイント📌
👀 常に最新情報を:AIと法律の世界は日進月歩です。信頼できるニュースソースを定期的にチェックする習慣をつけましょう。
⚖️ 判例が未来を作る:特に米国での訴訟の判決は、世界のスタンダードになる可能性があり、最も注目すべきポイントです。
📜 規約変更を見逃さない:サービスからの公式な通知には必ず目を通し、変更点を理解しておくことが自己防衛につながります。
まとめ

Midjourneyは、私たちの創造性を増幅させてくれる、本当にパワフルなパートナーです。単純な作業やアイデアの壁打ちをAIに任せることで、私たちはより本質的な創造活動に時間を使うことができます。
しかし、その力を享受するためには、ツールの裏側にあるルールとリスクを正しく理解し、責任を持って使いこなすリテラシーが不可欠です。
- 規約上の「所有権」と法律上の「著作権」は別物であること。
- AI生成アートは現時点では法的に保護されず、誰にでも模倣されるリスクがあること。
- Midjourneyが抱える訴訟のリスクは、最終的にユーザーである私たちが負う可能性があること。
- そして、そのリスクを軽減するためには、ステルスモードの利用、既存IPの回避、人間による創造的な加工といった具体的な自衛策があること。
これらの知識は、あなたを不必要なトラブルから守り、より自信を持ってAIを創作活動に取り入れるための土台となります。AIを恐れるのではなく、正しく理解し、賢く付き合っていく。そうすることで、私たちはツールに振り回されることなく、AIを「本来のクリエイティブな活動の時間を確保するための、頼れるパートナー」として活用していけるはずです。
【免責事項】 本記事で扱う生成AI、特にMidjourneyを取り巻く利用規約や著作権に関する状況は、技術の進歩、訴訟の進展、法整備によって絶えず変化しています。この記事は法的な助言を提供するものではなく、クリエイターの視点から現状の情報を整理し、安全な利用方法を模索することを目的としています。掲載された情報については細心の注意を払っておりますが、その時点での解釈の一つであり、情報の完全性、正確性、最新性を保証するものではありません。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。商業利用や法的な判断が求められる重要なプロジェクトでAI生成物を利用する際は、必ずMidjourneyの最新の利用規約をご確認いただくとともに、弁護士などの専門家にご相談ください。
📚 参考ソース
- Midjourney Terms of Service
- Using Images & Videos Commercially (Midjourney公式ドキュメント)
- Comparing Midjourney Plans
- Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International (CC BY-NC 4.0) – Deed(要約)
- Navigating AI Platform Policies: Who Owns AI-Generated Content?
- ECORN Research: Mass AI Image Generation (Part 2)
- Midjourney License: Commercial Use, Copyright & Terms
- Are Midjourney Images Copyrighted?


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