「デジタルで絵を描いてみたいけど、液タブ(液晶ペンタブレット)って高すぎる…」
「3万円くらいで買えるモデルもあるけど、安かろう悪かろうで、結局使い物にならないんじゃ…?」
そんな悩みを抱えているクリエイター志望の方や、学生さんに、衝撃的なニュースです。
XPPenから登場した「Artist 12 3rd (第3世代)」は、約3万円というエントリー価格でありながら、その中身(特にペンと色域の性能)が、明らかに従来のハイエンドモデルの領域に踏み込んできています。
「Wacomキラー」とまで呼ばれるこの最新機種は、果たして本当に「最高の初心者向け液タブ」であり、価格以上の「プロレベルの性能」を持っているのでしょうか?
デザイナーであり、道具にはうるさい作業効率厨である私が、その実力を徹底的に分析します。(この記事は、2025年11月時点の公式情報や市場価格に基づき分析しています)
✅ 買い:約3万円で「プロ級のペン性能」と「正確な色」が手に入る、驚異的なコスパ。
✍️ ペン性能:「IAF 2g」という、Wacomに迫る繊細な描き心地が最大の武器。
🎨 色性能:「Adobe RGB 97%」をカバー。Web・印刷・映像基準の「正確な色」を実現。
🎁 全部入り:必須の「スタンド」が最初から付属。 追加コストがほぼ不要な点も最強。
🤔 妥協点:性能に全振りした分、筐体(外装)の質感はプラスチック的。
この記事で分かること📖
🚀 Artist 12 3rd (第3世代)の真価:なぜ「Wacomキラー」と呼ばれるのか?
✍️ X4ペンの凄さ:16K筆圧 より重要な「IAF 2g」 と「沈み込み0.3mm」 とは?
🎨 色の秘密:「Adobe RGB 92%」から「97%」への本気の進化。
🔄 旧モデルとの違い:第2世代からどれだけ進化したのか?
🎁 付属品の価値:スタンド同梱 と「X-Dial」 が初心者に最強なワケ。
🤔 賢い妥協点:この価格を実現するために「何を諦めた」のか?
結論:Artist 12 3rdは「プロ性能の入口」を3万円で実現

まず、デザイナーとしての結論から言います。
Artist 12 3rd (第3世代)は、「コスパ最高の怪物」です。
これは、「安くてそこそこ使える」という従来の初心者モデルとは一線を画します。「プロが求める描画体験だけを3万円のパッケージに詰め込んだ」製品です。
もちろん、十数万円するWacomのCintiq Proのような、所有欲を満たす金属製の高級感や、4Kの広大な作業領域はありません。
しかし、XPPenは「初心者がデジタルで描くために、本当に必要なものは何か?」を深く理解しています。
XPPenが出した答えは、「①繊細なペンタッチ」と「②正確な色再現」でした。
この2点にリソースを全振りし、それ以外の部分(例えば筐体の素材)で意図的にコストを抑える。この「妥協」こそが、Artist 12 3rd (第3世代)を単なる「安い液タブ」ではない、「コストパフォーマンスの怪物」たらしめている理由です。
注目ポイント📌
🎮 ゲームチェンジ:従来の「予算が許せばWacom、妥協してその他」という常識を覆す可能性。
💰 驚異のコスパ:「最初の一台」のコストで、プロの「コア」な描画環境(繊細なペン+正確な色)が手に入ります。
🚀 制作の入口を変革:デジタルアート制作の入口を根本から変える一台と言えるでしょう。
なぜ「プロレベル」と言えるのか? 2つの技術

「プロレベル」と言うからには、明確な根拠が必要です。本機がそう評される理由は、数字ではなく、「ペン」と「ディスプレイ」の2つの仕様にあります。
| 技術 | アップグレード項目 | スペック(第3世代) | 備考(旧モデルとの比較) |
|---|---|---|---|
| ペン | 最小ON荷重 (IAF) | 2g | 旧3g。より繊細なタッチが可能に。 |
| ペン先の沈み込み | 0.3mm | 旧0.6mm。よりダイレクトな描き心地。 | |
| ペン精度 (中央) | ±0.2mm | 旧±0.5mm。より正確な描画。 | |
| ディスプレイ | 色域 (Adobe RGB) | 97% | 旧92%。プロの印刷基準をカバー。 |
| 色精度 (sRGB) | ΔE < 1.2 | プロが信頼できる色の正確さ。 | |
| 表面仕上げ | AG + AFガラス | 旧AGフィルム。耐久性と質感が向上。 | |
| 輝度 | 260 nit | 旧220 nit。より明るく見やすい。 |
【技術1】 「X4ペン」:16K筆圧よりも重要な「IAF 2g」と「沈み込み0.3mm」

液タブの心臓部はペンです。Artist 12 3rd (第3世代)は、旧世代のX3チップから飛躍的に進化した「X4スマートチップスタイラス」を搭載しています。
スペック表を見ると「業界最高水準の16,384段階の筆圧検知!」 と書かれています。
しかし、私たちデザイナーを含め、毎日ペンを握っている漫画家やイラストレーターであっても8,192レベル(旧X3)と16,384レベル(新X4)の差を体感できる人間はほぼ居ないでしょう。 これはマーケティング上(特にWacomに対して)の「数字競争」の側面が強いと思われます。
本機のペン性能で本当に重要なのは、「初期作動荷重(IAF)」です。
旧モデル(X3チップ)のIAFが3gだったのに対し、新X4チップはIAF 2gを達成しています。
たった「1g」の差と思うかもしれませんが、この1gが描き味に天と地ほどの差が生じます。特に、繊細な線画やスケッチで「抜き」や「入り」をコントロールする際、圧倒的な応答性の良さとして現れます。
さらに、ペン先の沈み込みも旧モデルの0.6mmから、わずか0.3mmに改善されています。 ぐらつきがなく安定した線が描ける、よりダイレクトな描き心地を実現している点も、Wacomが優位性を持っていた「繊細なペンタッチ」の領域に、低価格モデルが追いついたことを示しています。さらに、ペンの精度も旧モデルの±0.5mmから±0.2mm(中央)へと向上しており、より精密な描画が可能になっています。
【技術2】色の正確さ「Adobe RGB 97%」:旧モデルからの「本気の進化」

もう一つの核心が、ディスプレイです。
- 旧モデル (Artist 12 2nd):sRGB 99% / Adobe RGB 92%
- 新モデル (Artist 12 3rd):sRGB 99% / Adobe RGB 97% / Display P3 97%
このスペックを見てください。これは単なるマイナーチェンジではなく、本気の進化です。
旧モデルも「Adobe RGB 92%」という、エントリー機としては十分すぎる色域を持っていました。 しかし、新モデルが「Adobe RGB 97%」という数値を達成してきた意味は非常に大きいです。
これは、Webデザインの基準であるsRGB 99%をほぼ完璧にカバーし、さらに商業印刷(DTP)やプロの写真編集で使われる「Adobe RGB 97%」、映像編集の基準である「Display P3 97%」 という3つの主要な色空間を非常に「正確に」カバーすることを意図した、非常にプロ志向の仕様です。sRGBにおいて「ΔE < 1.2」という高い色精度も謳われており、これはプロが信頼できる色の正確さを示しています。
さらに、ディスプレイはフルラミネート加工が施されており、 表面はAG(アンチグレア)ナノエッチングガラスとAF(アンチフィンガープリント)コーティングで仕上げられています。 これにより、視差(パララックス)が最小限に抑えられ、画面への映り込みや指紋も防止。 紙のような描き心地を技術的にサポートしています。
これは旧モデルが「ガラス+アンチグレア保護フィルム着装」だったのに対し、新モデルでは「AG + AFガラス」へと進化した 点も見逃せません。フィルムから加工ガラスへの変更は、耐久性や指紋の付きにくさ(AFコーティング) だけでなく、描画時の質感向上にも寄与しています。加えて、ディスプレイの輝度が旧モデルの220 nitから260 nitへと向上し、より明るく見やすくなった点や、長時間の作業での目の疲れを軽減する「DC調光」に対応した点も、プロユースを意識したアップグレードです。
さらに、プロユースで実用的な点として、OSD(オンスクリーンディスプレイ)ボタンで色空間(sRGB, Adobe RGB, Display P3)を即時切り替えられる機能も搭載しています。 これにより、Web用、印刷用と作業内容に応じて、ディスプレイの表示を最適化できます。
注目ポイント📌
✍️ 価値①:ペン:「IAF 2g」、「沈み込み0.3mm」、「精度±0.2mm」 という、Wacomに迫る「繊細なペンタッチ」を実現。
🎨 価値②:色:「Adobe RGB 97%」 というプロ基準の「正確な色」と「フルラミネート」、「高輝度・DC調光」 を搭載。
💡 最大の価値:この2つの「プロの描画体験」が、約3万円で手に入ることこそが最大の価値です。
初心者にこそ最強の理由:「全部入り」と「左手用ツール」

プロレベルの性能を持っていても、初心者が使いこなせなければ意味がありません。Artist 12 3rd (第3世代)が「最高の初心者向け」と評される理由は、性能以外の部分、特に「購入時の体験」と「将来性」にあります。
追加コストゼロの安心感:専用スタンド「標準同梱」の価値

液タブで絵を描く時、机に平置きしたままでは姿勢が悪くなり、首や肩を確実に痛めます。角度をつけるための「スタンド」は必須のアクセサリです。
スタンドは別売りであることが多く、Wacom Oneなどの競合製品も別売りです。
しかし、Artist 12 3rd (第3世代)は、この「折りたたみ式スタンド」が標準で同梱されています。
これは、単に「3,000円お得」という価値だけではありません。
「本体を買ったはいいけど、サイズに合ったスタンドも別で買わなきゃいけないの? どれがいい?公式のスタンドよりサードパーティー製?」という、購入時に直面する「迷い」や「追加コスト」をゼロにしてくれます。
このスタンドは使用時の角度が 19°に固定され、高さは 7.9cm になります。 これは、初心者がまず姿勢を崩さずに描くための最適な環境が「標準」として用意されている点で非常に合理的です。
さらに、この同梱スタンドは「12〜16インチのノートパソコンや液晶ペンタブレットでも快適に使用可能」 と公式に謳われており、液タブ以外にも使い回せる「汎用的なスタンド」が手に入るという点でも価値が高いです。
プロの作業を学ぶ「X-Dial」と8つのキー

Artist 12 3rd (第3世代)には、旧モデル(2nd Gen)には無かった「X-Dial」というダイヤル(しかも2個)と、8個のショートカットキーが新搭載されました。
「キーが多い」だけなら他の製品にもありますが、この「ダイヤル」の搭載が戦略的です。
ダイヤル(またはホイール)は、Wacomの上位モデルCintiq Proラインなど、プロ機材の象徴的な機能です。
プロのデザイナーやイラストレーターがダイヤルで何をしているか?
- キャンバスのズームイン/アウト
- ブラシサイズの変更
- 画面の回転
- カラースライダーの変更
こうした、制作中に何百回と行う操作を、キーボードに手を伸ばすことなく、左手デバイス(ダイヤル)で直感的に制御しています。
デザイナーの視点:このキー配置の素晴らしさ
正直なところ、私はこれまで液タブ本体のショートカットキー不要派でした。特に過去のWacom製品のキーやホイールは、どうにも押しにくいデザインや位置にあると感じることが多く、同じように感じていたユーザーが多かったのか、現行のWacom製液タブでは本体にキーが搭載されていません。
しかし、Artist 12 3rd (第3世代)のキーとダイヤルは、その考えを改めさせられるほど優秀です。
本体のサイズ感と絶妙にマッチしており、手を添えると自然に指が届く位置に配置されています。特に感心したのは、ボタンとダイヤルが本体の「角」の部分(表面と側面をまたぐように)に配置されている点です。これにより、本体を正面から操作している時も、少し立てかけてサイドから手を添える時も、同じ感覚で操作できます。
これは本当にユーザーの姿勢や持ち方を考えていると感じました。これまで本体キー不要派だった私ですが、このX-Dialとキーの操作感は、同社の「XPPen Magic Drawing Pad」にも採用してほしいと本気で思うほど気に入っています。

ペンの紛失を防ぐ「マグネット吸着機能」

地味ながらプロの視点で見逃せないのが、XPPen液晶ペンタブレット初搭載となる「マグネット式スタイラス」です。
本体の上部にマグネットが内蔵されており、ペンを近づけるだけで「パチッ」と吸着します。
これは、iPad ProとApple Pencilのような、高価格帯のデバイスで採用されている便利な機能です。「ちょっと手を離す」際にペンを転がしたり見失うストレスがなく、作業効率の向上と紛失防止に直結します。こうした「実用的な工夫」がエントリーモデルに搭載された点も、本機の大きな魅力です。
「これを買えばOK」という全部入りのパッケージ
初心者が機材購入で最も不安なのは「本体以外に何が必要か分からない」ことです。
Artist 12 3rd (第3世代)のパッケージは、この不安を排除しています。公式情報によると、以下の全てが標準で入っています:
| カテゴリ | 内容物 |
|---|---|
| 本体・ペン | Artist 12 3rd 本体、X4 スマートチップ・ペン、芯抜き |
| 替え芯 (計15本) | 標準芯 × 10本、フェルト芯 × 5本 |
| 必須アクセサリ | 折りたたみスタンド、3-in-1 ケーブル、フル機能USB-Cケーブル |
| サポートアイテム | 2本指グローブ(イラスト入り)、クリーニングクロス(イラスト入り) |
| 日本限定特典 | イラスト入りパッケージ、イラスト入り絵葉書、イラスト入りキーホルダー |
これら全てが標準で入っています。「これを買えば、すぐに始められる」という絶対的な安心感。これが、本機を「初心者におすすめできる1台」として完成させています。
特に注目すべきは、標準芯だけでなく、より紙に近い抵抗感を得られる「フェルト芯」が最初から5本付属している点です。 購入してすぐに多様な描き味を試せるという価値があります。
また、イラストレーター・はむメロン先生の美しいイラストを使用した日本限定版パッケージや、イラスト入りのグローブ、クリーニングクロスなどは、開封時の高揚感や創作意欲を高めてくれる価値も提供しています。
さらに、接続の簡便性も魅力です。PCが「DisplayPort Alternate Mode」に対応していれば、USB Type-Cケーブル1本で接続が完了します。 もし対応していなくても、必要な3-in-1ケーブルも標準で付属している ため、自分のPC環境が分からない方でも「すぐに始められる」安心感があります。
ただし、一点だけ注意点があります。本製品には電源アダプタが付属していません。PCのUSBポートから十分な電力が供給できない場合や、3-in-1ケーブルを使用する際には、別途5V/2AのUSBアダプタが必要になる可能性があることは覚えておきましょう。 特にAndroid端末での使用を考えている人は、電源アダプタ(5V/2A)の準備が必要になる可能性が高い点は注意しましょう。
【豆知識】3-in-1ケーブルで接続する場合:3-in-1ケーブルは、PC側で3本に分岐します。
- HDMI(映像用): PCのHDMIポートに接続
- USB-A(データ用・黒): PCのUSB-Aポートに接続
- USB-A(電源用・赤): PCの別のUSB-Aポートに接続
PCのUSB-Aポート(USB 3.0)は、通常5V ⎓ 0.9A(約4.5W)しか電力を供給できません。 Artist 12 3rdが要求する10Wには足りないため、2本目のUSB-A(赤色)を接続して、電力を補う必要があります。USBハブを使用すると電力が足りないため、必ずPC本体のUSBポートを使用してください。
💡 もしPCのUSBポートで電力が足りない場合
もし、3-in-1ケーブルで接続でPCのUSBポート2つに挿しても電力不足(画面がちらつく、電源が入らないなど)になる場合は、赤色のUSB-AだけをPCから抜き、代わりにスマートフォンの充電器(5V/2A)に接続してください。これで安定した電源を供給できます。
※ここに注意(ケーブルの長さと延長について)
3-in-1ケーブルの構造上、PCに接続する「黒いUSB」と「赤いUSB(電源用)」の分岐点は距離が短く、コンセントが遠いと届かない場合があります。
その際は、できればUSBケーブルを延長するのではなく、「電源タップ(AC延長コード)」を使ってコンセント側を手元に持ってくる方法が最も動作が安定するためおすすめです。(1mのコードだと、Amazonだと差額130円前後です。)
※もしUSBケーブル側を延長する場合は、100円ショップ等の安価な細いケーブルは避け、高品質なUSB延長ケーブルを使用してください。(電圧不足で画面が映らなかったり、不安定でちらつく原因になる場合があります。)
注目ポイント📌
🎁 追加コストゼロ:「スタンド同梱」 により、購入時の迷いや追加コストの心配がありません。(※電源アダプタが別途必要になる可能性あり)
🎓 教育的な投資:「X-Dial搭載」 は、初心者をプロの作業の流れへと導く「学習ツール」としての価値を持ちます。
🧲 実用的な利便性:「マグネット式ペン吸着」機能 が、紛失防止と効率化に貢献します。
🇯🇵 限定特典:日本限定版の特典 が、創作意欲を高めてくれます。
🔌 接続の安心感:ケーブル1本、または付属の3-in-1ケーブル で確実に接続できます。
旧モデル(第2世代)との徹底比較:第3世代はどれだけ進化したか

Artist 12 3rd (第3世代)は、単なるマイナーチェンジではありません。約4年前に発売された旧モデル(第2世代)と比較すると、価格上昇を遥かに上回るアップグレードが行われていることが分かります。
| 比較項目 | Artist 12 3rd (新) | Artist 12 2nd (旧) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 本体サイズ | 327.2 × 189.1 mm | 346.2 × 209.0 mm | 本体は小型化、画面は微増 |
| ペン技術 | X4スマートチップ | X3スマートチップ | ハイクラスモデルと同等に |
| IAF (最小ON荷重) | 2g | 3g | より繊細なタッチ |
| ペン先の沈み込み | 0.3mm | 0.6mm | よりダイレクト |
| ペン精度 (中央) | ±0.2 mm | ±0.5 mm | 精度UP |
| 筆圧レベル | 16,384 | 8,192 | ハイクラスモデルと同等に |
| 操作性 | 8ボタン + ダイヤル(X-Dial)2個 | 8ボタンのみ | 効率UP |
| 色域 (Adobe RGB) | 97% | 92% | 色の正確性UP |
| 表面仕上げ | AG + AFガラス | ガラス+AG保護フィルム着装 | 質感・耐久性UP |
| 輝度 (標準) | 260 cd/㎡ | 220 cd/㎡ | 視認性UP |
| 本体重さ | 719g | 825g | 100g以上軽量化 |
| 付属品 | スタンド標準同梱 | スタンド別売 | コスト減 |
| 視野角 | 170° | 178° | わずかに減少 |
ペンが「X4」に進化したことでIAF 2gの繊細なタッチ と沈み込み0.3mmのダイレクト感、そして±0.2mmの精度 を手に入れ、 操作系には「X-Dial」が追加されました。
そして何より、ディスプレイがプロ基準の「正確さ」であるAdobe RGB 92%から97%へと、確実に進化しています。
必須のスタンドも同梱され、 100g以上軽量化し、さらに本体幅は346.2mmから327.2mmへと大幅に小型化しつつ、画面サイズは264.0 × 149.0 mmと旧モデル(263.2 × 148.1 mm)より僅かに広くなっています。狭額縁デザインの進化も著しく、 実質的なコストパフォーマンスは第3世代の優位性が際立っています。
注目ポイント📌
✍️ ペンが進化:IAF 2g と沈み込み0.3mm、精度±0.2mm で、繊細なタッチが向上しています。
🎨 色が進化:プロ基準の「Adobe RGB 92%」から「97%」 へと根本的に改善されました。
🔧 装備が進化:「X-Dial」 と「スタンド」 と「軽量化(と画面占有率UP)」 で、価格上昇を遥かに上回る価値が加わっています。
競合モデルとの比較:Artist 12 3rd (第3世代)はなぜ「Wacomキラー」なのか

では、市場の他の製品と比べてどうでしょうか。同価格帯の主要な競合製品と比較すると、Artist 12 3rd (第3世代)の優位性は決定的となります。
最大のライバル「Wacom One 14」
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XPPen Artist 12 3rdの購入を検討する際、必ず比較対象に上がるのが、Wacomの最新エントリーモデル「Wacom One 14」です。
「サイズが違うのでは?」と思われるかもしれませんが、Wacomの12/13インチモデルは発売から2年以上経過しており、14インチモデルより実売価格が高くなっています。現在、価格と性能のバランスで本機の最大のライバルとなるのが、この最新の14インチモデルです。
結論から言うと、本体価格だけでなく、スタンドやケーブルなどの付属品に大きな違いがあります。 PC環境によっては実質価格(乗り出し価格)に大きな差が開くことも。
「具体的に性能はどう違うの?」「私の環境だと、総額いくら変わるの?」という点については、以下の記事で徹底的に比較を行いました。迷っている方は必ずチェックしてください。

vs Huion Kamvas 13 (Gen 3):最大のライバルとの差

より直接的なライバルは、Huionの「Kamvas 13 (Gen 3)」でしょう。
ペン性能(16K筆圧、IAF 2g)は、Artist 12 3rd (第3世代)と完全に互角です。
ただし、Huion側は公式情報で「ボールペンのような描き心地」を目指した、より細身のペン先(PW600L)を採用しています。これはXPPenの「バレット型ペン先」 との違いであり、この点は書き味の好みが出るかもしれません。
しかし、それ以外の決定的な違いは以下の表の通りです。
| 比較ポイント | XPPen Artist 12 3rd | Huion Kamvas 13 (Gen 3) |
|---|---|---|
| 参考価格(スタンド付) | ⭕️約3万円 | 約4.4万円(セールでさらに1万円ほど安く買えることが多い) |
| ペン性能 (IAF/筆圧) | IAF 2g / 16K筆圧 (互角) | IAF 2g / 16K筆圧 (互角) |
| ペン精度 | ⭕️±0.2 mm (中央) | ±0.3mm (中央) / ±2mm (隅) |
| 色の正確性 (Adobe RGB) | ⭕️97% | 90% |
| 色精度 (公表値) | ⭕️ΔE < 1.2 (sRGB) | ΔE < 1.5 |
| 操作性 (キー/ダイヤル) | ⭕️8キー + 2ダイヤル | 5キー + 2ダイヤル |
このように、IAFや筆圧は互角ですが、ペン精度、「色の正確性(色域と精度)」「操作性」「スタンド込みの総コスト」でArtist 12 3rdが明確に優位です。
ただし、Huionは「ブルーライトの量を低減する最先端のキャンバスガラス」(アンチスパークルディスプレイ)を搭載しており、長時間の目の疲れを気にするユーザーには魅力的なポイントです。
注目ポイント📌
🆚 vs Wacom One 14:「Wacom One 14」に対し、性能(ペン、色域、キー)と装備(スタンド)、価格、接続性(隠れコスト)で明確に優れています。
🆚 vs Huion Kamvas 13:同等のIAF/筆圧を持つライバル「Huion」に対し、「ペン精度」、「より正確な色域・色精度」、「ショートカットキーの数」、「スタンド込みの価格」で勝ります。
🏆 市場での優位性:これらを、競合より安い価格で提供している点が強みです。
知っておくべき価格相応の妥協点(デメリット)

ここまで絶賛してきましたが、もちろん完璧な製品ではありません。この卓越したコストパフォーマンスは、「妥協」の上に成り立っています。デザイナーとして、シビアな視点でその「代償」も指摘します。
筐体の質感(ビルドクオリティ)
最大の妥協点は、外装です。
予算の全てを内部の「ペン」と「ディスプレイ」に振り分けた結果、筐体(フレーム)は「安価なプラスチック感」が否めません。
Wacom Cintiq Proのような、所有欲を満たす金属製の高級感を期待してはいけません。本体カラーはブラックとシルバーグレーの2色 から選べますが、あくまで道具としての「プレミアム感」を求めるユーザーには欠点となり得ます。
11.9インチという「物理的な狭さ」

本機の最大の代償は、11.9インチという「サイズ」そのものです。
これはA4用紙よりも小さく、解像度はFHD(1920×1080)です。公式情報では約185PPI(ピクセル密度)とされており、高精細ではありますが、物理的なサイズが小さいことに変わりはありません。
何が起こるかというと、クリスタなどの描画ソフトのUI(ツールパレットやメニュー)を表示したままだと、描画領域であるキャンバスが非常に小さくなります。
最小限のパレットだけに厳選したり、ペンを走らせるときは「すべてのパレットを隠す」機能(クリスタではデフォルトで「Tab」キー)を使って一時的にパレットを非表示にするなど、作業上の工夫が必要になります。これは、このサイズの液タブ共通の物理的な制約です。
一方で、このサイズ感には明確なメリットもあります。
正直なところ、絵を描くことだけを考えれば、画面は大きい方が適しています。しかし、プロのイラストレーターのように、巨大な液タブを常設できる専用の広いデスク環境を持っている人が、果たしてどれだけいるでしょうか?
大型の液タブは、その重量とサイズから一度設置すると動かすのが困難で、毎回ケーブルを抜き差しして片付けるのは非現実的です。
その点、この11.9インチというサイズは絶妙です。
多くの人は絵を描く以外にも日常的にPCを使います。このコンパクトさなら、描かない時はサッと片付けたり、邪魔にならない位置に置いてサブモニターとして活用したりすることが容易です。
「設置場所を選ばず、必要な時だけ取り出して使える」という取り回しの良さは、限られたデスクスペースで活動する多くのクリエイターにとって、画面の広さ以上に実用的な価値があるかもしれません。
また、旧モデルの825gから719gへと大幅に軽量化されており、 持ち運びやすさ(ポータビリティ)は格段に向上しています。
もし、この11.9インチというサイズに不安を感じ、予算が許すのであればXPPenのラインナップで、4K・有機ELといったプロ仕様の描画体験を追求した「Artist Ultra 16 4K」などの上位モデルを検討するのも一つの選択肢です。

軽微な画面端のズレ(実体験と報告)
スペック表には現れない性能差として、画面端での同期ズレや遅延があります。 実際に本機を触ってみたところ、私も画面の端に向かってペンを走らせる際、ごくわずかなズレを感じました。
ネット上のレビューを調査しても、「少しのズレと遅延に気づいた」という報告がいくつか見られます。 ただし、これは描画に大きな支障が出るレベルではありません。実際の作業では、基本的に画面の中央付近でペンを走らせますし、画面端にあるパレットやメニューを操作する際も、ほとんど気にならないレベルだと感じました。
将来的なドライバーのアップデートで改善する可能性もありますし、公式スペックではフルラミネート加工が明記されており、これにより視差(パララックス)自体は最小限に抑えられている点も、この価格帯としては特筆すべきです。
電源アダプタの別売
本製品には、コンセントから給電するためのUSB電源アダプタが付属していません。 PCのUSBポートから十分な電力が供給できる場合は問題ありませんが、3-in-1ケーブルを使用する場合や、PCの環境、あるいはAndroid端末に接続する場合は、別途5V/2AのUSBアダプタ(スマホの充電器など)を用意する必要があります。
注目ポイント📌
💰 代償の理解:本機は「高級感」と「作業領域」を犠牲にしています。
🎯 価値の焦点:その代わり、予算を「描画性能(ペンと色域)」に全振りしています。
👍 最適な選択:この割り切りを理解できる人にとって、最高の選択肢となります。
Artist 12 3rd の「賢い妥協」まとめ表

本機の設計思想で何を捨て、何を得たのかを一目で確認しましょう。
| 妥協した点(デメリット) | 得られた強み(メリット) |
|---|---|
| ❌️筐体はプラスチック的で、高級感はない。 | ⭕️コストをペン性能 (IAF 2g) と色性能 (Adobe RGB 97%) に全振りできた。 |
| ❌️11.9インチは物理的に狭く、UIが小さく表示される。 | ⭕️約3万円という圧倒的な低価格 と、719gという軽量な取り回しの良さを実現。 |
| ❌️電源アダプタが別売。(PC環境により別途必要かも) | ⭕️必須の「スタンド」 や「フェルト芯」 を同梱し、初期コストを最小限にした。 |
| ❌️タッチ操作に非対応。 | ⭕️操作を「ダイヤル」と「8キー」 に絞り、プロの作業フローを低コストで学べる。 |
最終評価:Artist 12 3rd (第3世代)は「買い」か?
ここまでArtist 12 3rd (第3世代)について、良い点(プロ級のペンと色域)も、知っておくべき妥協点(筐体の質感や画面の狭さ)も、詳しく分析してきました。
これらすべての情報をここで一つにまとめ、「じゃあ、結局のところ、この液タブは買いなの?」という点について振り返って確認しましょう。
Artist 12 3rd (第3世代) 総まとめ表
| 評価軸 | 評価 | 詳細・根拠(公式情報に基づく) | |
|---|---|---|---|
| 描画性能 (ペン) | ◎ (プロレベル) | X4ペン搭載。IAF 2g、ペン先の沈み込み0.3mm、精度±0.2mm。 | |
| 描画性能 (色) | ◎ (プロレベル) | sRGB 99% / Adobe RGB 97%カバー、輝度260nit、フルラミネート、AG+AFガラス採用。 | |
| 操作性 | ◎ (優秀) | 8個のショートカットキー、2個のX-ダイヤル、マグネット式ペン吸着 を搭載。 | |
| 携帯性 | ○ (優秀) | 11.9インチ、本体重量719gと軽量化を実現。 | |
| コストパフォーマンス | ◎ (市場最高レベル) | 必須の「折りたたみスタンド」が標準同梱。(※電源アダプタ別売) | |
| 妥協点 (サイズ) | △ (価格相応) | 11.9インチ (FHD)。物理的な作業領域は狭い。 | |
| 妥協点 (質感) | △ (価格相応) | 筐体はプラスチック的だが、画面はAG+AFガラスで高品質。 | |
- これからデジタルイラストを始めたい初心者・学生
- 約3万円という圧倒的な低価格。「全部入り」で追加コストや迷いがない。「最初の一台」としてこれ以上の選択肢はありません。
- プロの「サブ機」を探している人
- IAF 2gのペン とAdobe RGB 97%の色域 は、プロのサブ機としても十分耐えうる性能です。 719gという軽量さ で、 持ち運び用としても最適です。旅行などの外泊時で作業したい場合、ノートPCと一緒に持ち運ぶモデルとしては最適解とも言えます。
- 幅広いOS環境で描きたい人
- Windows, macOSはもちろん、Android 10.0以降(USB 3.1 DP1.2対応端末)、ChromeOS 88以降、Linux、Windows ARM まで幅広く対応しています。(特にAndroid端末で使用する場合、GalaxyのDeXのような「デスクトップモード」対応機種で真価を発揮します)。
- 「Wacomは高い」と感じている全ての人
- Wacom One 14の性能を(ペン性能、色域、ショートカット機能、スタンド同梱、接続性の点で)凌駕しており、 「Wacom品質」に迫る描き心地を圧倒的な低価格で体験できます。
- 据え置きの「メイン機」として広大な画面が欲しい人
- 11.9インチは物理的に狭いです。 本格的なメイン機が欲しいなら、16インチ以上のモデル(Artist Proなど)や4Kモデルに進むべきです。
- 道具に「高級感」や「所有欲」を求める人
- 筐体はプラスチック的です。 性能は本物ですが、道具としてのプレミアム感を求めるならWacom Cintiq Proなどを選ぶべきです。
- 画面の「タッチ操作」をしたい人
- 本機はペン専用です。 指でのタッチ操作(拡大縮小など)をしたい場合は、Wacom Cintiq Proシリーズや、一部の旧モデル(Wacom One 13 touch)など、タッチ対応機種を選ぶ必要があります。
- プロ級のペン性能: IAF 2g、沈み込み 0.3mm、精度 ±0.2mm を実現したX4スマートチップペン。
- 正確な色域: プロ基準の Adobe RGB 97% をカバーし、Web/印刷/映像の基準に対応する正確な色。
- 追加コストが最小限: 必須の折りたたみスタンドが標準同梱。購入時の迷いや追加費用をカット。
- 操作性の進化: プロの作業フローを学べる 2個のX-Dial とショートカットキーを搭載。
- 携帯性・利便性: 本体重量 719g、マグネット式ペン吸着 機能で、持ち運びや取り回しがしやすい。
- 筐体の質感: 性能に全振りした分、筐体(外装)の質感はプラスチック的で高級感はない。
- 物理的な狭さ: 11.9インチ(FHD)のため、描画ソフトのUI(パレット)が描画領域を圧迫する。
- 電源アダプタ: PC環境によっては、コンセントからの給電用アダプタが別途必要になる。
- 操作の制限: 画面の指によるタッチ操作(マルチタッチ)に非対応。
まとめ

XPPen Artist 12 3rd (第3世代)は、低価格液タブとは思えないほど高性能です。
筐体の素材や画面サイズは価格相応ですが、初心者がプロレベルに到達するために必須の「ペン性能(IAF 2g、沈み込み0.3mm、精度±0.2mm)」 と「ディスプレイ性能(Adobe RGB 97%、フルラミネート)」 という絵を描く上で重要視される点がハイエンドモデルと遜色ないレベルです。
さらに、「スタンド同梱」 と「こだわりのショートカットキーとダイヤル」 、そして「マグネット式ペン吸着」 という、約3万円の価格設定とは思えないほど充実したパッケージになっています。 これはもう競合(Wacom, Huion)を凌駕しているといっても良いのではないでしょうか。
もしあなたが予算を抑えつつ高性能な液タブがほしいなら、Artist 12 3rd (第3世代)は最初の1台として最適です。
免責事項:本記事で紹介するガジェット、ツール、アプリケーションの情報は、筆者(プロのデザイナー)が調査した時点のものです。製品の仕様、価格、サービスの機能は将来的に変更される可能性があります。情報の正確性や完全性を保証するものではありませんので、最終的な購入・導入の判断は、必ず公式サイトの一次情報を確認の上、ご自身の責任で行ってください。
📚 参考ソース
- XPPen公式サイト:Artist 12 3rd
- XPPen公式ストア:Artist 12 3rd
- Wacom公式サイト:Wacom One 14
- Wacom公式ストア:Wacom One 14
- Huion公式ストア:Kamvas 13 (Gen 3)






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